ワインによる寓話
酒井「私の名前は酒井周平、35歳。8年前からワインにハマっていて、今ではすっかりワイン狂です。特に赤ワインが好きでね、月に13本は空けます。今日は行きつけのワイン屋で、赤ワインを買いに行きます。あ、因みにこの世界ではワインが擬人化して登場します。」
店員「いらっしゃいませ」
酒井「今日も赤ワインを」
店「でしたらこちらはどうでしょう?」
ワインA「初めまして。シャトー・ディケムです」
酒「・・・?」
店「お客様、いかがなさいましたか」
酒「すみません、これ白ワインじゃないですか?」
A「いいえ、私は赤ワインです」
酒「いやいや、どう見ても赤じゃないですよ」
店「まぁ、本人が赤ワインですって言っているから赤ワインなんです」
A「はい、れっきとした赤ワインです」
酒「意味が分からないんだけど」
店「お客様、大変失礼いたしました。申し遅れましたが、本日より当店ではワインの色自認を尊重する運動に賛同しておりまして。ワインが自認している色で紹介しております」
酒「あぁ…聞いたことがある。カラーマイノリティを守るとか訳の分からないデモ活動がニュースになってたな」
店「では、こちらのワインにいたしますか?」
酒「ちょっと待ってくれ。赤ワインが欲しいんだ」
A「私が赤ワインですが?」
店「お客様。こちらは正真正銘の赤ワインです」
酒「わかった。じゃあ他のワインは無いのか?」
店「ではこちらはどうでしょう?」
B「シャルドネ・キュヴェ・キャスリーンです」
酒「あれ?でも、確かに赤い。すみません、試飲できますか?」
店「どうぞ」
酒「ごくっ…味は白じゃないか。そのブランド名自体が白ワインだし。まさか、何か混ぜたか?」
B「私は色転換加工を受けました。自分の色自認に身体を合わせたんです」
酒「ふざけんじゃねーよ!ただ食紅を混ぜただけじゃねーか!いいか、店員。普通に赤ワインを出せって言ってるの!」
店「お言葉ですがお客様、大変古い考えをお持ちのようで。なぜ故に色にこだわるのでしょうか?本当に大事なのは、色よりもワインそれぞれの特性ではないですか?」
酒「赤と白じゃ全然違うって分からないのか!?」
C「どうしたんですか!?やけに騒がしいですけど」
店「あぁ、シャトー・シュヴァル・ブラン。今、おかしなお客様がいらして」
酒「あ、このワインはちゃんと赤じゃないか。なぜ早く紹介しなかった」
店「あぁ、このワインは…」
C「わたし、赤でも白でもないんです。無色ワインという言葉がありまして。どうやらそれらしいんです」
酒「いやいや、君は赤ワインだよ。俺が欲しかったのは君だ」
C「すみません、私は無色なので。赤ワインとして扱われるのは大変不愉快です」
酒「いや、だって赤ワインでしょう?」
C「うぅ…」
店「泣いちゃったじゃないですか。もうこれ以上迷惑をかけるようでしたらお帰りいただけますか」
酒「あぁいいよ!こんな店出てってやるよ!他のワイン屋で、赤は赤、白は白で出してくれる店に行くから」
店「そんな店、この街にはもうありませんよ。あるとしたら、隣の隣の隣の村になると思います。まぁ、そこも時期に色自認を認めるでしょうけども」
酒「……あぁーっ!もうワインはコリゴリだ。明日からはワインなんて辞めて日本酒にでも乗り換えてやる」
C「…今なんて言いました?」
酒「だから、ワインが嫌だから日本酒に…」
C「それだわ!私は赤でも白でもない、日本酒なんだわ!」
酒「へ?」
C「やっとわかりました。私は、シャトー・シュヴァル・ブランの大吟醸よ!」
酒「……はぁ。すみません。この大吟醸下さい」
店「かしこまりました」
【終わり】
昨晩の就寝前に思いついたネタを今日書き起こしてみた。
我ながらよく分からない内容。
そして、ワインについては全く知らないので、適当に名前を調べてコピペしました。
ごめんなさい。